未だ影響力を持っている小出裕章氏の言説を簡単に検証してみました。講演のマクラからこんなこと言う人をアナタは信じますか?

相変わらず一部に人気の小出裕章・京大原子炉研助教。10月7日に長野で講演したそうです。11月6日でも長野で講演が催されるとか。

10/7の講演会は、地元紙・信濃毎日新聞でも取り上げられていました。

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ぶっちゃけておきますと、この方、フェアに原発問題を論じるにははなはだ迷惑な人なので、この人の大きな問題点を指摘しておこうかと。この人の本が売れるのもシャクですし(苦笑)。さらにはこの人を持ち上げて報道する新聞もね(キリッ

小出助教が記されている、「過剰な発電所と無力な原子力(PDF)」という記事を肴にします。たった2ページですので是非お読み下さいませ。

キモの図も貼っておきますね。

小出-設備利用率レトリック


小出助教の論旨は、「火力と水力を大いに利用すれば原子力なんぞ要らないのに、何故か利用されていない」ですね。

これ、見事にダウトです。

まず1点。
水力と火力の設備利用率が100%になることは有り得ません。
水力ですが、ダムに水がないと発電できません。ずっと発電してるとダムが干上がりますから適時発電を止めてダムに水を溜めないといけませんね。さらには雨が少なくなると水を溜めるのに苦労しますね。これも利用率を下げます。また、水を受けて回る発電機のメンテが定期的に必要です。

おわかりですね。水力に100%を仮定すること自体おかしな話で、そんな仮定を元に語るのはインチキです。

火力ですが、ボイラーも発電機も運転しっぱなしには出来ません。時々止めて点検をしないといけないのです。整備しないとエンジンが壊れるからやる、クルマの車検と考え方同じです。よって利用率は100%に成り得ません。火力にも100%を仮定すること自体おかしな話で、そんな仮定を元に語るのはインチキです。

さらに、火力は別の理由で100%仮定とかふざけんなよ!って事情がありますよね。発電というのは使われる量に適切な余裕量を乗せる感じで発電しないといけません。この夏、各電力会社のでんき予報ページで見たと思いますが、涼しい時間帯から需要が上がっていくのに合わせて発電所を稼働させたり出力を上げるんですね。ここでの主役が火力発電所であります。

例えば東京電力は1日のピークと底では夏期だと1,000万Kw以上の差が有ります。底からピークに需要が上がっていく間、休んでいた火力発電所が次々に運転を開始して需要を追い、ピークから底に下がっていく過程では火力発電所が次々に停止して行くわけです。

毎日の電力需要を的確に追うためには、需要の底で火力発電所は休み、ピークでフル稼働という操業が日常でして、どうしても休む火力発電所が出て来るというわけです。

さておわかりですね。念押しになりますが、火力に100%稼働を仮定すること自体マッタクトンデモナクおかしな話で、そんな仮定を元に語るのはマッタクトンデモナクインチキです。

小出助教は講演の最初で上記「火力と水力をフル利用すれば良いじゃん!それを100%にしないのは原発維持のための陰謀」と聴衆に印象付ける話をするわけですが、それはインチキです。

さて、Hira如きの能力でもおわかり戴けたかと思いますが、電力会社が稼働100%を確保できない理由を懇切丁寧にしておりますのでそれを紹介して駄目押ししておきましょうかね。

中部電力サイト:火力発電について
中部電力サイト:水力発電について
火力なんか、本来の点検期限を守らないで稼働してるプラントがあるんですよ。
これ、原則は違反ですが、法律の例外事項等で辛くもOKってことなんですよね。

原子力にはやいのやいの言っておいて、火力がこんな危なっかしい稼働を続けてることを何とも思わないんですかね?さらに節電だなんだでようやく凌いだこの夏を余裕で足りたかの如くほざいたメディアがあったようですが、許せませんね、Hiraは。

厳密には違法になる操業をしてプロントがトラブり、死者が出たら、「なんでそんな操業で発電してたんだ、酷いじゃないか!」って掌返して言うクセに。と余談その1でした(汗)

ついでに、中部電力サイトから稼働率の話:地熱・太陽光

設備利用率年間12%しか出ない太陽光に過大な期待しちゃあ駄目ですよ、と余談その2w

さて、肴にしたのはこの1件だけですが、これで小出助教という人を評価しても良いと思うんですよ。

現に事故ったのですから、原子力発電というテクノロジーに疑問を提起するのは良いでしょう、ごもっともです。

ならばなぜ、このようなあからさまなインチキを発してまで原子力発電を否定するのか?ってことですよ。「原子力発電というテクノロジーに疑問」で正々堂々勝負できないの?おかしいじゃないですか。

つか、「脱原発ありき」であれば、嘘言っても良いんですかね?
良く言われる、「推進ありきだ!」って言う話しに対して「脱原発ありきだ!」ってカウンターになりまっせ。

追記:以前に小出助教についてツイッター上で整理を試みた記録があるのでリンク先をご参照下さい。集合知で小出氏の他の「?」の検証を試みています。


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Secre

よく見かける批判だけど

電力・火力を100%活用して原子力の穴埋めをしないといけない日は年にどれだけあるの? っていう視点を知ってか知らずか抜いてるとせっかくの批判も小出的仮想現実なデタラメと五十歩百歩
わざわざそんなネタを選ばなくても小出批判はいくらでも出来るだろうに

No title

コメント有り難うございます。
本記事ですが、小出助教が各地を回ってする講演会の「マクラ」部分に敢えて特化してみたものです。

この「マクラ」、本質とは遠い話かもですが、ここをまともに信じると、「原子力政策はそもそも国民を欺く陰謀なのだ!」という先入観に支配されるわけで、後に続く、さらなる「怪しい話」を信じさせるのに非常に都合が良いんですよね。一種のマインドコントロールテクニックと見ています。なので、それなりには重要な話だと考えています。

>電力・火力を100%活用して原子力の穴埋めをしないといけない日は年にどれだけあるの?

参照しますので、この件について情報をお持ちならばご提示していただけると助かります。
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